モチーフや風景に魔法のフィルターをかけるように、グラデーション感をあえて使わない塗りの美しさだけで表現する絵が有名な松尾たいこ氏。一見ポップでゆったりした世界観なのに、事物のより複雑な陰影までを見るものに想像させてしまうという味わい深さが最大の魅力です。
本作は、2012年の代官山蔦屋書店での展覧会のため、松尾氏が初めてエッチングに取り組んだ2作品のうちの1作。とても珍しい作品です。彼女自身が版画工房へ何度も通い、ニードルで線を描き腐食させた銅版を色ごとに作って仕上げたもので、落ち着いた独特な色の発光感が魅力的。噴水をモチーフに、弾けるような水しぶきを表現しています。マット幅をたっぷりとって空気感を大切に仕上げた額装込みでお届けいたします。