少女たちをメインモチーフにしながら、私たちの日常と空想の行間に横たわっている微妙な情感を丁寧な筆使いで描き続けている、菅野麻衣子氏。絵の人物たちは子どものような身体バランスを持ちますが、それらは菅野氏自身の分身のようであり、老若男女問わず共感できる一人芝居を演じて魅了するように見るものの心へ入り込んでいきます。絵のシーンの前後に長い物語性が感じられ、深読みしたくなるディテールが満載。アクリル絵具によるオーソドックスで鮮烈な塗りと、見るものをワクワクさせるカラー設計、そして着想豊かな構図の掛け合わせにより比類のない世界観を構築しています。
本作は、菅野氏が長くCDジャケットのアートワークを担当し親交の深いロックバンド「Brian the Sun」の楽曲「One」から構想を得たという作品です。
「この女の子には、勝ち負けによって、やるやらないを計算することができないほど、どうしてもやらなければならない心に決めた道があって、それでも、たまに現れる迷いの自分をドットで塗りつぶしています」(菅野氏のステイトメントより)