見知らぬ人の写真を頼りに作られた肖像彫刻。モデルが持つ無限に持つアングルの中から撮影者によって選ばれた1シーンから、全く関係のない私が無数にある残りのシーンを想像し、立体として実現させていきます。素材の都合や制作者の主観や思い込み、偏った知識によって像は徐々に歪んでいき、ついには元のモデルとはまるで違うものになってしまいます。写真などの媒体を通して私たちが情報を他者に伝えようとするとき、知らず知らずのうちに同じようなことが起こっているのではないでしょうか。
彫刻というメディアを通して、情報伝達の際に起こるゆがみを物理的に表現する試みです