色とりどりのタイルピースを造形し貼り合わせて絵を構成する、ユニークなタイルモザイク手法で創作を続けている落合香木(かなぎ)氏。つややかな素材質感をいかしながら、タイルを自在にマトリクス化して童話のワンシーンのように温かみのある描画を創出。おもに少年や少女の感受性の世界へ、自己の内面を投影しながら表現しています。室内装飾にぴたりとマッチする絵として、おすすめです。
本作は「月」シリーズとして制作した中から「7月」編。「7月の浮足立った空気とぶれる焦点」をテーマに制作したという大型の作品です。本作にはいつものタイルと違い、「ズマルト」というイタリアのモザイク用手焼きガラスが使われており、独特な光沢と色彩美をお楽しみいただけます。厚い素材のためハンマーを使って割り、石モザイク的な流れを作って仕上げたということで、落合氏としても特に思い入れのある作品に。その素材のため重量が重くなっています。
個展「落合香木展 N.E.blood 21 vol.72」(2020年、気仙沼・リアス・アーク美術館)で展示され好評を博しました。