山口藍の2005年の銅版画に「ん」という作品があります。これは少女の座るポーズがひらがなの「ん」のようでした。
ひらがなの最後の「ん」から15年ほど経ち、今回は始まりの「あ」です。縁側に座る少女の姿をひらがなの「あ」に見立てています。
この作品を特徴付けているものに、背景の地色があります。これは楮の和紙を柿渋などでランダムに染めてあるもので、一枚一枚の様子が全く違っています。
その和紙に落ち葉の形に金箔を置き、そこにエッチングを刷ってあります。
そして刷り上がったのち、一枚一枚の表情に合わせて山口が目や頬、着物に手彩色を施しています。