日常生活での出来事や現象、収集したものを自身のフィルターを通しインプットとアウトプットを繰り返し絵画を制作するシリーズ。今まで集めた膨大なファイルの中から琴線に触れたオブジェクトをセレクトし、デジタル上でコラージュ。それをキャンバスにペインティングで落としこんでいる。そんな構成→解体→再構成のループの中で徐々に過去、現在、未来が同時に並行して進行していることに気づく。そこにできた具体と抽象のイメージとの摩擦で生じる時空の歪みが、作品の構成に多大な影響を及ぼしている。毎日膨大な情報やビジュアルを目にしている中でそれらが何事もなかったかのように次の日には忘れられまた新しい情報がやってくるというループからなんとか抜け出したいという抵抗。また、この作品は主に漫画や古本からの切り抜き、サンプリングによって作られているが、モチーフひとつひとつの捉え方にも自身の好む戦後から80年代にかけての大衆文化や芸能からくるノスタルジックな感覚が基準となっている。