2022年から新しく取り組んでいる、”何か越しに見える何か”というテーマで制作していくシリーズです。
例えば金網越しに風景を見た時、向こう側の風景と金網そのもの両方に同時にピントを合わせることは出来ません。肉眼で風景を見ている時、目はリアルタイムに自動でピントを調整することで人間の脳にリアルタイムで空間を認識させています。人間が物を見て認識するイメージは、一つの固定された図像が物質として定着する絵画とは本質的に異なるということです。この”空間を見ること”と”絵画を描くこと”に横たわるズレを制作の中心に置いて制作してみようと考えました。
制作のプロセスはこれまでのシリーズの厚紙で作ったブロックを写真で撮影、編集するというものを踏襲していますが、これまでは作品の中でないものとして扱われてきた、陰影や光を、色彩を使って表現することを試みています。これは”見ること”を制作の中心に持ってきた結果、光を自分の絵画空間の中に取り入れらる余地が生まれたためです。