黒田阿未(くろだあみ)氏は、紙版画(板紙凹凸版)を中心とした手法で創作している新鋭です。彼女にとって制作活動は「私とは何者であるのか」という問いかけであり、「制作することで自身と向き合い思考し、確認し、会話している」のだといいます。少女たちの夢や空想、深く濃い耽美を主題にしたその繊細な表現は、数々のコンクールやグループ展で高い評価を得ています。

本作は「重なっていく日々や心の揺らぎ」をテーマに制作された一作です。水性木版も取り入れた作品で、緻密に描き込まれた描画とストーリー仕立てのような構図、刷り色の豊かなニュアンス美が魅力的。小さな画面の中に黒田氏の版画の美質が全て凝縮されているおすすめ作です。「ACT小品展 2021」(2021年、Art Complexcenter of Tokyo)にて展示され好評を博しました。