感染病、戦争、天災と暗いニュースが続いています。その中で私の中に生まれる静かな怒りに気づきました。侭ならなさ、愚かさ、恐ろしさに晒される日々に、強い怒りと悲しみを覚えます。獅子狛の姿に魔除招福を重ね描いてきましたが、その中でも最も強い感情を込めて描きました。眩しいほどに燃える獅子狛たち、魔を焼き払い幸いを呼び込みますように。
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現代の人間を描写したいと思った時、私は人を描くのではなく犬を描こうと決めた。人の歴史と同じだけ犬の歴史がある。そして犬の体型や習性の様変わりを追うと、人のそれよりもより顕著に変化していると感じた。
一方、作品の中で依り代となる獅子狛も、ライオン(インド)にはじまり獅子(中国)となり、朝鮮半島を経て、日本においてはとうとう犬になってしまった。先祖が生んだ狛犬と、現代人が造った愛玩犬。これらのねじれを縒り集め、現代に適応した獅子狛を描く。