従来の統語構造に従うのではなく、文字を二次元空間上で視覚的に配置し、多方向的、多焦点的に繋げることで新たな文脈を生み出すことを目指している。《ki/u》は、「キ」と「ウ」という音節に基づく漢字を無数に配置することで降雨を描いた。「祈雨」という言葉を起点とし、その音節の派生によって様々な漢字を選択している。線行から解放された漢字は作品のなかで同時的に存在しており、同一平面上にある全ての漢字と接続する可能性をもっている。鑑賞者の視線のなかで漢字同士が縁によって出会うことで、あらゆるインスピレーションが生まれる。漢字の形態、音節、意味が相互的に作用し合い、祈りのイメージを介しながら漢字同士が共鳴する場として作品を提示する。