ステンシルアートの手法だけが持つポップさと味わい深さに着目し、繊細な画力で日本的なモダンリビングにも溶け込みやすい独特な話法として活かし創作してきたのが赤池完介氏です。日常の風景や人物、静物など、彼の眼に写ったものが驚くほど細かいナイフさばきでステンシルに加工され、多重的な色彩表現をもって平面に定着されます。紙やキャンバスを超えてインテリアや衣類にも展開中。様々な広告やイベント、雑誌などで作品が発表されるたび、その比類のない工芸的な味わいが称賛を集めています。
本作は、「愛」や「男女の距離」をテーマにした近作「Lovers loathe to part」シリーズからの一作。愛や幸福のアイテムをピックアップすることで様々な愛のストーリーが暗示されています。赤池氏自身の個人的な経験で見てきたメキシコやブラジルなどに見られるお守りや宗教のグッズともリンクしており、中南米の家屋の壁色や質感、壁画などからのインスピレーションが感じられます。少し質感のあるローラーペイントが使われています。
「33331アートフェア」(2022年、アーツ千代田3331)にて展示され好評を博しました。