今日の高層建築にはそのコストや強度からガラスの外壁が採用されている。ガラスの表面は言うまでもなく滑らかだが、周囲に建つビルのフレームによって規則性を持った意匠のようなものが浮かび上がる。ガラスの製法によって生じている歪んだかのような反射が、ガラス張りの無機的な建物とは思えないような装いを与えている。この触覚的な外装は高層ビルが隣接する空間ゆえに生じる現象であるため、決して特別なものではなく都市空間の没個性化の一助を担うものでもある。しかしそれぞれの様相の中にある微妙な差異をバリエーションとして記録することで画一的な空間のディテールに目を向け、その豊かさと薄さを東京やその近郊の高層建築がもつ特徴として表象する。