Profile
1962年、イギリス・ロンドン生まれ。ブライトン大学を卒業後、アメリカに渡りカンザスシティ美術大学、フィラデルフィアのタイラー美術学校で学ぶ。
カール・ファッジは、デジタル技術と伝統的な版画技術を組み合わせ、モチーフとなる画像を元に幾何学模様と色による万華鏡のような作品を制作する。作品のモチーフとなる素材は、17世紀日本の木版画からアンディ・ウォーホルの「カモフラージュ」絵画まで多岐にわたり、ファッジの手にかかればそれらの作品は元の姿とは全く異なる別の姿へと変貌する。そうして生まれた作品は、まるで形状が韻を踏みながらぶつかり合うように抽象化され、ハードエッジ絵画(※)とデジタル美学の双方の側面を持つことになる。
このような、謂わば「熱狂的な」コンポジションは、ピエト・モンドリアンの《ブロードウェイ・ブギ・ウギ》(1943年)における賑やかなモダニズムに対する愛情のこもった眼差しを感じさせると共に、デジタルアートの未来を見据えていると言えよう。ファッジの作品は、ボストン美術館、カトナ美術館、クランブルック美術館、ホイットニー美術館、ブルックリン美術館、新現代美術館(NY)、ロンドン・ロイヤル・アカデミーなど世界中で多数の美術館に所蔵されている。
※ハードエッジ(絵画):1959年に美術評論家のジュールス・ラングスナーが作った造語であり、大胆な直線が作る角を強調し、平面的に構成した抽象画を形容する言葉。