書道の美と技法を現代アートのなかへ新鮮な角度で吹き込む活動をしている、開田氏。墨汁と紙が引き起こす偶然性を援用しながら自らのイマジネーションを、作為と無作為のフュージョンという創造に結びつける、そんなゾクゾクする新しい「書」の魅力を盛んに発信しており、これまで「書」のジャンルに馴染みのなかった人々からも注目を集めています。
本作は、2021年より制作している『ひとすじの』シリーズからの一作。ボンド墨で人偏を流し書きしたのちに、抽象的なラインと点を描いたものです。意図した線と意図できない線を俯瞰し、身体が滅んだあとに残る意識を箔で表しています。金箔はトン、プラチナ箔はツーとし、モールス信号による「LOVE」の表意も潜ませているコンセプト。2023年、富山大和アートサロンにて展示され好評を博しました。