1958年、中国の雲南省に生まれたジャン・シャオガンは彼のトレードマークである赤い斑点と細い血管を駆使し、大家族の伝統的な価値観と、現在中国で浮き上がる個性の価値観との間から生じる葛藤と、そこから生じる問題を詩的に描き出す。
共同体的な連帯感から育まれた情緒的な価値と、潮が満ちるかのように押し寄せる西欧の個人主義的な価値は、中国人たちに多くの心理的な葛藤と混沌を招いた。
そして彼は、このような緊迫感のある現実から最も大事なのものは何か、悩んだ。彼が出した答えは、家族愛と友情、そしてそこから生み出される暖かな思い出を懐かしみ、感謝することができる、古くから伝わる生そのものへの表現を選んだ。
彼は親兄弟や友達、もしくはテレビ、電話、電灯といった「私」の生きる周辺にあるものを丁寧に拾い上げ、詩的な表現で制作し続けている。