町田久美
Kumi Machida
和紙(主に雲肌麻紙)や墨、胡粉、岩絵具など、伝統的な「日本画」の素材、技法を用いながら、従来の枠組みに捉われない自由な表現を切り開く町田久美。
大胆な余白に太く迷いのない線で描かれたポップでシュールなキャラクターたちは、一度見たら忘れられない強烈なインパクトを与える。
一見、勢いよく引かれた墨線は、実は面相筆で細い線を何度も重ねるという綿密な作業からなり、瞳や口元には日本画的なグラデーションが施され、青墨、茶墨の繊細なニュアンスが画面に深みを与える。
描かれた主人公はどこかユーモラスでありながら、時にシニカルに現代社会の内奥をあぶり出す。
町田の作品には、自意識の葛藤や社会的な違和感、他者とのコミュニケーションに潜む不安など、現代を生きる私たちが経験する捉えどころのない感覚が示唆的に表されている。
ミニマルでちょっと奇妙な世界観は、国内外で根強い人気を誇り、2012年には初めての作品集(青幻舎)が刊行された 。
2016年のSBIアートオークションでは、スクリーンプリントの作品138,000円で落札されるなど、手の届く価格帯でありながら安定した人気を誇るアーティストだ。
1970, born in Gunma, Japan