小林孝亘
Takanobu Kobayashi
水飲み場や犬、花、小学校でみかける百葉箱など、身近な事物や風景を題材にしながらも、静謐で神秘的な絵画世界を創り出す小林孝亘。
木々の葉を揺らすそよ風にハッと心を奪われる瞬間。誰もが経験したことのある言葉にできない一瞬のリアルな感覚 、日常の中に曖昧に埋もれている一コマを具体的なシーンとして描き出したいと語る。
初期作品では、外界との接触を極力避けていた自分自身を潜水艦というモチーフに投影し、繰り返し描き続けていた。
しかし、バンコクでの滞在経験をきっかけに次第に外の世界に目を向けるようになり、身近なモチーフ、さらにはポートレートを描くようになる。
現実離れした物語の世界のようでありながら、遠い記憶を呼び起こすような不思議な魅力を持った作品だ。
2014年には横須賀美術館で個展開催、作品集を刊行するなど、今後の活動から目が離せない注目アーティストだ。