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この数年で作品価格が急激に高騰した感のあるエドワード・ルッシェ。数字上では5年間で865%の上昇となっている(2004年1月23日『ウォールストリート・ジャーナル』調べ)。一見変哲もないように見える彼の作品だが、実際に接してみるとそこには何とも言えない、独特のクールで渇いた空気が流れていて、そこが彼の作品に対する人気のゆえんとなっている。
エドワード・ルッシェ
Edward Ruscha
リトグラフ
Lithograph
1937年、ネブラスカ州オマハ生まれ1956年、ロサンジェルスに出てきたルッシェは、ジャスパー・ジョーンズの作品と出会いアーティストを志す。60年代ガソリンスタンドや建築を撮影し、写真集『26のガソリンスタンド』を出版するが同時に絵も描き始める。液体のような輪郭の文字で綴られた言葉、茫漠とした風景に浮かぶ単語など言葉を主題とするものであった。同時代のポップ・アーティストたちが日常品や有名人、漫画などを描いていたのに対し意外と身近な言葉に着目したのは正解だったといえる。最も知られる「HOLLYWOOD」の文字はロサンジェルスのシンボルでもある。ほかのポップ・アーティストよりスタートこそ遅れたものの、1982年、サンフランシスコ近代美術館で個展を開催して以来、着実に実績を上げ、最近作品の価格も上昇が著しい。2000年から2002年にかけて回顧展がハーシュホーン美術館ほかを巡回し、2002年のマドリード、レイナ・ソフィア国立美術センターで開かれた個展「メイド・イン・ロサンジェルス」は大好評を得た。