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上下に二分された画面、しかも上半分は黒一色、マーク・ロスコの最晩年のダーク・ペインティングが思い出されるかもしれない。ロスコの場合には人生にのしかかる重圧、不安としての黒だったが、タイマンスの画面の黒は感情的な意味とは無関係のようだ。放送の終わった明け方のテレビ、雨に濡れた舗道、淡い紫に息づくように柔らかな翡翠色、緩やかなリズム、落ち着き、一つの画面を言葉に置き換えていくと詩が生まれてくる。詩人ランボーのヴォワヤン(見者)のクールな眼差しがある。静寂を求める人のための最良の作品。
リュック・タイマンス
Luc Tuymans
エッチング
etching