青木野枝にとっての記念すべき初めての版画シリーズ「亀池・蓮池」。ある日、池で亀と目が合い、しばらく見つめ合っているうちに、お互いの見ている世界を見たような気がしたと言うエピソードから生まれたタイトルで、同名の大型彫刻作品が新潟県立近代美術館の屋外に永久設置されています。彫刻で表現している立体空間を直接モノクロームの平面に置き換えたような、率直な表現が魅力。銅版画独特の静かな空間の中に、ゆらぐような柔らかな立体が立ち上がっています。モノトーンながら、深く、静かで、見つめていると穏やかな気持ちになります。
青木野枝は80年代から精力的に発表を続ける彫刻家で、多くの美術館、企業などに作品が収蔵されています。鉄を素材として選び、その作品の多くが、高さが2メートルを越す大型のものでありながら、彫刻とともに周囲の空間と光が自由に揺れ動くかのようで、重力を感じさせません。大きな鉄板から細い線を切り出すように溶断し、それらを溶接して作られた形には、柔らかさやあたたかさがあふれています。#script tag escaped#flgDispRecommend=false;#script tag escaped#