今から5,6年前のこと、名古屋の美術関係者が集う然るバーで知り合った小川氏を訪ねることが出来た。贋作画家のアトリエかと目を疑うばかりの、描きかけのフェルメールやらフランソワ・ブーシェやらの作品が所狭しと並んでいる。壁には古いヨーロッパの写真の絵葉書が貼られていた。前者は油彩のWithout You シリーズ、後者は鉛筆あるいはペン書きのPerfect Worldシリーズの氏の作品であると知らされた。精密微細を極めた作画技術はおそらく世界有数だろう。ペンとインクだけで描かれたというより再現された古い印刷物は経年の重みすら感じさせる。ピサの斜塔が2本?見え透いたジョークがこれほどまでリアリティをもつとは、百聞は一見にしかず。入手が極めて困難な作品、もし購入できたなら、宝くじに当たったようなもの。