横位置で撮影した画像に後から編集操作を与えて縦位置にすることで、都市が潜在的に抱える特徴や記憶を捉えようとするシリーズ。
渋谷スクランブルスクエアから東方面を捉える。田畑から武家屋敷へと姿を変えた六本木周辺は、のちに近接する軍事施設の接収によって国際的な繁華街へと発展し、その周囲も1964年の東京五輪を契機に集合住宅群や雑居ビル街へと姿を変えていく。バブルを経て進められた再開発によって港区全体にはオフィスビルが立ち並ぶこととなり、かつての居住区は臨海部にそびえる高層マンションへと拡張されていく。水平方向だけでなく、垂直方向へもコンクリートの木々で覆われた現在、様々な背景を持つ人々が集まる東京の中心部の様子はますます継ぎ接ぎされたかのような光景を生み出していく。