今回の個展では、タイトルの通りに、さらにその先に行ける可能性を示す。それに続く道は、今回のテーマとしての、“抽象化”というキーワードに繋がっている。
創作の世界で抽象化とは、狭い意味では、いわゆる具体的なカタチが無いものといえるが、広く捉えると、漠然と描くのではなく、形に縛られず、概念的な哲学を純化して表現するようなイメージであろう。
宮城勝規の作品に登場する人物は、今回も、子供や人間とは特定していないのだが、その子供(のようなもの)は、変えようのない日常や、常識に囚われている視覚の制限から自由になれる“心”という象徴であり、また、これら子供の一見奇抜に見える格好は、 そのような気持ちの有り様に気がついた鑑賞者の視点、生き方を変え、心を自由にしてくれる“眼”を与えてくれる。
いわば“心の抽象”というべき、新たな地平に向かっていける我々は、今回画面に登場する人物が、以前より成長した子供として描かれている様に、大きな一歩を踏み出していると思えるのだ。