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『現代美術コテンパン』を著したトム・ウルフなら、ルッシェの作品を見てこう言うかも。「言葉が書かれているだけだったり、チーズの食べ糟が乗っているだけのこんなキャンバスも、壁に飾ってあれば絵画になるのか?」 確かに。でも何故かはわかりませんが、「HEAVEN」とか「ETC..」とだけ描いてあるルッシェの作品が、やけに記憶の中に残るのです。パンチのきいた広告のごとく、そのイメージは一度見たら頭から離れなくなる。
エドワード・ルッシェ
Edward Ruscha
リトグラフ
1937年、ネブラスカ州オマハ生まれ1956年、ロサンジェルスに出てきたルッシェは、ジャスパー・ジョーンズの作品と出会いアーティストを志す。60年代ガソリンスタンドや建築を撮影し、写真集『26のガソリンスタンド』を出版するが同時に絵も描き始める。液体のような輪郭の文字で綴られた言葉、茫漠とした風景に浮かぶ単語など言葉を主題とするものであった。同時代のポップ・アーティストたちが日常品や有名人、漫画などを描いていたのに対し意外と身近な言葉に着目したのは正解だったといえる。最も知られる「HOLLYWOOD」の文字はロサンジェルスのシンボルでもある。ほかのポップ・アーティストよりスタートこそ遅れたものの、1982年、サンフランシスコ近代美術館で個展を開催して以来、着実に実績を上げ、最近作品の価格も上昇が著しい。2000年から2002年にかけて回顧展がハーシュホーン美術館ほかを巡回し、2002年のマドリード、レイナ・ソフィア国立美術センターで開かれた個展「メイド・イン・ロサンジェルス」は大好評を得た。