山中の描く風景はすべて体験に基づいています。それは実際に行った場所だけでなく、雑誌やテレビ、インターネットなどから得た視覚的な体験も含みます。それらは一度細かく断片化、彼の頭の中で再構築され、新たな風景としてキャンバスに描かれていきます。その様子は現実的な風景とは違いどこか形而上的です。背景は山や海など様々ですが基本的な構図は近似していて、同じことを繰り返すこと自体に意味があるようにも思えてきます。また昨今のペインティング作品にありがちなコンセプチュアルさを彼は否定しています。それはその向こう側にある新しい何かを探求することに他なりません。