黒田阿未(くろだあみ)氏は、紙版画(板紙凹凸版)を中心とした手法で創作している新鋭です。彼女にとって制作活動は「私とは何者であるのか」という問いかけであり、「制作することで自身と向き合い思考し、確認し、会話している」のだといいます。少女たちの夢や空想、深く濃い耽美を主題にしたその繊細な表現は、数々のコンクールやグループ展で高い評価を得ています。本作は、「何者にもなれなかった誰か」をテーマに制作されたものです。版画の風合いを大切にしながら、淡い着彩をほどこした印象的な小作品です。2019年の個展「忘れられた場所で」(The Artcomplex Center of Tokyo)にて展示されました。