実際には存在しない肖像を描く架空の肖像画のシリーズです。いくつかの画像を合わせて、元になる画像を合成しています。
絵画史を紐解くと肖像画作品は数多くありますが、現代ではその必要性自体がほとんど無くなりました。
この作品では古典的でオーソドックスな肖像画の構造だけを踏襲しつつ、現代の気風を反映させて再構築しています。
また肖像画というと特定の誰かをイメージさせますが、この作品は特定の人物を描いていません。
古典絵画にも人物を特定できない作品は多くあります。作品の強度は描かれた人物が誰かというよりも、そこに描かれた顔やしぐさや服や状況の組み合わせによって生まれています。
この作品では組み合わせの強度を探りつつ、顔や髪型、服や背景など別々の画像を合わせながらエスキースを作成しています。
近作ではフランドル派や初期のルネサンスの絵画のような、やや神経質な細部の描写を参考にしています。