葛飾北斎の「諸国滝廻り相州大山ろうべんの滝」から着想した絵画で、 本来は大山寺に参詣する人々が滝で水垢離(みずごり)を行い心身を清めている場面を描いた 浮世絵ですが、この作品では、遥々山奥まで営業周りに来た会社員の男性(画面左下端)は 仕事の疲れからくる酒欲なのか、その滝の水行の様子を巨大なサーバーから注がれるビールに、 宿坊でもある「藤の坊」のちょうちんを居酒屋の赤提灯(画面右下)に見間違えている様子として、 浮世絵の中の水垢離する清らかな人々と現代の欲を断てない男性とを対照的に、 滝の水の清涼感とビールの爽快感との涼やかなイメージを重ねて描いています。