作品タイトルは「花鏡(世阿弥)」から。「ことさら当芸において、幽玄の風体第一とせり。」にある幽玄という言葉にインスパイアされ描いた作品。
現代の人間を描写したいと思った時、私は人を描くのではなく犬を描こうと決めた。人の歴史と同じだけ犬の歴史がある。そして犬の体型や習性の様変わりを追うと、人のそれよりもより顕著に変化していると感じた。
一方、作品の中で依り代となる獅子狛も、ライオン(インド)にはじまり獅子(中国)となり、朝鮮半島を経て、日本においてはとうとう犬になってしまった。先祖が生んだ狛犬と、現代人が造った愛玩犬。これらのねじれを縒り集め、現代に適応した獅子狛を描く。