様々な素材を組み合わせたコラージュ技法で知られる、長谷川洋子氏。フランスのアンティークレースやスパンコール、アクリルガッシュやマニキュア、ときには京都の大正着物生地などもミックスしています。バレリーナやお城、遊園地や星座など、誰もが憧れる夢物語のワンシーン。それを、個々の素材だけが持ちうる希少な色と光彩のニュアンスを操り、洋の東西と時代を超えた素材同士の奇跡的コラボレーションを引き起こして、ビジュー感に満ちた華やかな画面へ結実する唯一無二の魅力があります。
本作は、蘭の花に擬態をする「ランカマキリ」を描いたもの。羽の部分は特に繊細に作り込まれ、染めたアンティークレースや貝の表層、大正着物生地、ロードライトガーネットなど多種多様な色と素材のハーモニーをお楽しみ頂けます。アールデコ時代のジュエリーを想起させるように制作されており、文字部分は鉛筆と色鉛筆によるカリグラフィーで学名を入れています。こだわりの額装も魅力的。個展「香りのワルツ」(2022年、銀座・K.Itoya)、「煌めきのワルツ」(同年、静岡市・フェルケール博物館)にて展示され好評を博しました。