イギリス、ウェールズ地方に留学していた時、近くの雑貨屋の店主にロブという元兵士のおじいさんがいました。当時の私は寡黙で強面の彼がちょっと怖いと思っていました。おまけに彼は英語が嫌いでウェールズ語しか使いません。ウェールズ語はBorde da (おはよう)とDiolch (ありがとう)しか話せなかった私は、この二言だけでロブと会話しました。
五ヶ月後、「明日からイングランドの学校に行く。」と英語で伝えるとロブは驚いたようでした。そして、ウェールズ語でなにやら叫んだ後、お別れのハグをしてくれました。たった二言でしか会話できなかったのに、こんなに別れをおしんでくれるのかとちょっと切なくなりました。ウェールズの冬の海を見ると、厳しいけど懐の大きいロブ爺を思い出します。