透明な鉱物“雲母”の粉を用いた「雲母引」という和紙を使用しています。
くり抜かれた和紙の奥には、アクリルメディウムで表現された凹凸感のあるテクスチャーが覗きます。
全体的に控えめな光沢感のある作品です。
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“LAYERS OF MIND”という作品名のとおり、抽象的で捉えどころのない複雑な深層心理をイメージしています。
レースや絡まる糸にも見える、フラクタル状の線で構成された平面的な第1層目。
第1層目に穴があき、奥から姿を覗かせるのは、半立体的に盛り上がったテクスチャを持つ第2層目。デカルコマニーという技法を用い、山脈や葉脈や血脈のような形状が浮き上がります。
質感や存在感の異なる2つの層が重なりますが、そこに奇妙な共通点を見ていただけると思います。
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街はずれの地面をスコップで掘ると、膜の破れる音がする
穴をあけてすまなかったと私は街に謝罪する
鉄筋の巨大樹が伸ばす根の、痩せこけて錆びた末端神経が、
スコップに穢され夢みるように死んでゆく
ビル風に揺れるニューロンネットの隙間から、
まだ見ぬアルプス山脈の尾根が覗く
惑星の地肌に夢をみる
命を賭して登る人がみえる
人間の内なる世界の膜の奥
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This artwork uses a Japanese paper called "Kira-biki," which is made from the transparent mineral "unmo" powder. And, uneven texture composed of acrylic medium peeks out from behind the Japanese paper. Overall, this Art work has an elegant luster.
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LAYERS OF MIND, as the name of the artwork suggests, is an image of the abstract, elusive, and complex depths of the human psyche.
The flat first layer is composed of fractal lines. It looks like lace or tangled threads.
The second layer has a semi-dimensional raised texture.
It uses a technique called "decalcomania," and its shape looks like a mountain range, veins of leaves, or veins of blood.
The two layers overlap each other in texture and presence, but you can see a strange similarity between them.