様々な素材を組み合わせたコラージュ技法で知られる、長谷川洋子氏。フランスのアンティークレースやスパンコール、アクリルガッシュやマニキュア、ときには京都の大正着物生地などもミックスしています。バレリーナやお城、遊園地や星座など、誰もが憧れる夢物語のワンシーン。それを、個々の素材だけが持ちうる希少な色と光彩のニュアンスを操り、洋の東西と時代を超えた素材同士の奇跡的コラボレーションを引き起こして、ビジュー感に満ちた華やかな画面へ結実する唯一無二の魅力があります。
本作は、クチナシを描いたもの。ぷっくりとしたピンクトルマリン・アメジストの宝石を使用し、他にもアンティークのビジューや淡水パールが散りばめられています。花びら一枚一枚が貝の表層、フランス香水ラベル、アンティークレースなど異素材で構成され陰影を感じられるようになっています。小さな作品ですが、ホワイトゴールドの額と相まってエレガントな存在感が感じられます。