様々な素材を組み合わせたコラージュ技法で知られる、長谷川洋子氏。フランスのアンティークレースやスパンコール、アクリルガッシュやマニキュア、ときには京都の大正着物生地などもミックスしています。バレリーナやお城、遊園地や星座など、誰もが憧れる夢物語のワンシーン。それを、個々の素材だけが持ちうる希少な色と光彩のニュアンスを操り、洋の東西と時代を超えた素材同士の奇跡的コラボレーションを引き起こして、ビジュー感に満ちた華やかな画面へ結実する唯一無二の魅力があります。
本作は、黄色のトーンでまとめた揺れる穂を描いたもの。顔彩で着色した薄いレモンイエローのベースに、メキシコオパール、ペリドット、タンザナイトなどの宝石の他、オートクチュール刺繍用のヴィンテージのビジューやアンティークビーズ、スパンコール、淡水パールなどがふんだんに使用されています。穂の一本一本の細部までこだわり、刻んだスパンコールやビーズなどが多角的に輝くように意図されています。右下に止まった蝶がポイントとなり、空間に奥行きとストーリーを感じさせる大作です。
個展「TONE」(2023年、南青山・スペースユイ)にて展示され好評を博しました。