物憂い表情をたたえた少女たちのポートレートを主軸に作品を数多く発表し続けている谷川千佳氏。細い手足や、優美な曲線の長い髪など、伝統的でファンタジックな少女画の美質を備えつつ、宙を漂うような絵の主人公の視線に滲む彼女自身の深い空想力と、こちらの深層心理と共振するような、かすかな狂気を帯びた作品世界が魅力です。少女画の、特にセーラームーン世代と言われるアーティスト、イラストレーターが多数、厚い層をなしている中にあって、2D絵画の美と、自分自身にしかできない構想の深みを真摯に希求し続ける態度は、各地のギャラリー、ショップで高く評価されています。
本作は、繊細な風景描写で知られる鉛筆画シリーズから発展し、線描にインクを用いた近作です。日常の記憶の風景を舞台に展開される空想の物語。咲き乱れる数々の花の中で「自分に似た花」を見つける、という小さな気付きの瞬間が描かれています。2人展「みらいをほどくおまじない」(2025年、吉祥寺・GALLERY IRO)にて展示され好評を博しました。