全部取っ払って書いてしまうと、そこらへんにいっぱいある風景をそこらへんにいっぱいあるように描きたいだけです。
意識の内と外の切り替えだけで見え方の違う、膨大に自分の周りに広がる空間。
それらのそこらへんにいっぱいあるものを意識から切り離して、描いています。
それはストーリーを持たない舞台の背景のようでそっけないモノかもしれませんが、いつでも確実にそこに強いリアリティをもって存在しているものなのです。
夕立が起こる一瞬前、空が曇り、異空間に入り込んだように見えるとき、見慣れた風景はドラマチックな風景に変わります。
いつもと変わりなく同じ建物はそこに同じく建っているだけなのに。
鮫島大輔