大槻といえばショートケーキを描いた作品が知られています。それは「パーティー」と題され、楽しそうなパーティーの最中に、自分の居場所がない不安に駆られる瞬間の感情を描いています。他にも初個展当時から風景や水景、夜景などを発表していますが、その根底にある瞬間的に感じる不安を描くというテーマは一貫しています。
そして今回はあらためて風景に挑戦しています。誰もが見覚えのある、しかし鑑賞者それぞれが自由に解釈できるような景色を、いつものスピーディーな筆使いで、でも記憶の奥底を探るような柔らかい色でぼんやりと、紡ぎ出していきます。彼女ならではのゆらぐような心象風景に、身も心も浸ってみて下さい。