石川真衣氏が一貫して描いているのは、自分という主人公(=牡丹ちゃん)と愛犬レオを題材にした、運命と魂の所在をめぐる抒情詩です。版画の手法を最大限に駆使した濃淡グラデーションと驚くほど細かい描き込みには、60~70年代の劇画マンガやアングラ演劇が題材としていた精神的な暗がりを、現代にも通底するものとして浮き立たせる力があります。
本作は、様々な犬種を王子様に見立てた最近の代表的なシルクスクリーンシリーズ「犬イケメンシリーズ」からの一作です。2016年3月の個展「HANGA RETRIEVER」でも展示されました。