Black Maria とは褐色の黒い聖母像のことで、ヨーロッパの教会に存在しています。
その昔、キリスト教が普及するにしたがって民間信仰の地母神がマリアに吸収されていったといいます。
黒いマリアは娼婦であり、マグダラのマリアでもあります。
色の黒い理由こそ様々であるけれど、この異教徒的な面に私は謎を感じて心惹かれました。
人々が人間の創りだした神の像を前に祈ることでその神聖な領域に自らも触れようとするように、私は描
く事でその神性に触れようとします。
また、自らのアトリエを人工灯によって極端にコントロールせず、あえて薄暗くして自然光の中で作品を
描いています。
周囲の環境に呼応し、日本という場所が持つ湿度、明暗、自然が見せる色彩などを要素として取り入れま
す。
それらが作家の手によって作品の中に現れるとき、西洋らしいコントラストを併せ持ちながら、ある種の
日本的な曖昧さも表現されているのです