一見するとよくあるありふれた光景であるが、実際には2つの異なる空間が混在している。そのためピントの合う範囲が異なっていたり、2つの空間の境目には建造物が消えかかっていたりする。どちらも撮影時に同時にその場に存在した実体と虚像による光景であり、 しかしながらそのことをこの画面から判断するには相当な注意を要する。
インターネットと現実が物理的にも思考的にも地続きになり、物事の真偽が絶対ではなくなりつつある中、1枚の画像が現実のキャプチャであることを雄弁に語れる余地はもはや残されていない。写真が現実のコピーと称されることに立ち返り、その像の行方ー像が現実を規定するーを画面に構成する。