誰もがどこかで見たことがあり、懐かしい。しかし、何もかもが“ファスト”な現在においてスキップされてしまうシーン。それらを集め、原初的なメディウムであるキャンバス上の油彩画に置き換えて新たな心象風景として描き出します。 「昔の白黒映画やインターネットの中から琴線に触れたオブジェクトやシーンをセレクトし、データを別の場所に移し替える(トランスファー)と摩擦が起こる。それは時空の歪みのようなもの」 デジタル上で下絵を作った後にキャンバスに落とし込み、油彩絵具で色を重ねていく。登場人物や風景の輪郭をぼかし、既視感のある眺めを変容させる作品シリーズ。