建造物やその反射像がある風景の中に、街や人々の息遣いを捉える「City Portrait」シリーズ。
本作は2024年10月に捉えた建設現場での光景。工事中の現場に隣接する高層ビルにクレーンが写り込んでいる。東京の再開発はビルの隙間を縫うように進められるため、こうした光景にしばしば遭遇する。建設中にしか見えない光景は、当然建物が完成に向かう中で知らぬ間に消えていく。
そして高層建築が建てられてから壊されるまでの時間は半世紀近くあるが、それでも決して永遠にその建物が存在を続けることはない。その宿命を暗に示しているかのようでもある。