樋口佳絵
Kae Higuchi
樋口佳絵の作品は本の装画に使われることが多い。繊細で柔和なタッチで描かれるのは、いつか何処かで見かけたことのあるような、少年少女の姿である。
ほのぼのとした雰囲気のように見えて、そこから隠れている大人の憂いや恐怖があり、一枚の絵でそこまで感じさせる作家はなかなかいない。
子供たちの純真無垢で可愛い姿は、時に悲しげなその表情から心の奥まで届くような穏やかな気持ちになれる作品である。
美大には進まず、ほぼ独学で絵を学んだ作家ではあるが、2007年の「VOCA」では大原美術館賞を受賞している。国内でも有数の若手の登竜門であり、選ばれたキュレーターより推薦された作家のみが出展できるVOCAの中で、大原美術鑑賞を獲得できるというのは独学で学んだ作家としては並の才能ではない。
舟越桂、三沢厚彦、町田久美などそうそうたる日本を代表する現代美術作家を生み出してきた現代美術ギャラリーの西村画廊にて個展を開催したほか、最近は軽井沢現代美術館での個展も成功させた。
2008年にはシンワアートオークションでペインティング作品が270万円で落札されるなど、セカンダリー市場でも人気が高い。
版画においては、2万円台からと比較的に安く購入できるにはやはり魅力的だ。
油彩にテンペラを加えたオリジナルペインティングはこれからますます人気が上がることが予想され、お気に入りの作品があれば迷わずご購入することをお勧めする。