落合香木

Kanagi Ochiai

落合香木氏にとっての「画材」は、色とりどりのタイルピース。それらを切り出し一枚ずつ接着剤で貼り合わせるタイルモザイク手法で絵を創り続けている。

タイルを、切り絵や影絵における紙のように使いこなす技の凄さ。描かれるのは少年少女時代の豊かな感受性が拡張した世界で、そこに彼女は自己投影をしながら表現しているのだ。つややかで冷たい印象の表面質感と、童話のように温かみのある話法を備えた描画世界の広がりとのコントラストが、絶妙な味わいを生んでいる。

タイルモザイクによる絵といえば、一般にはグラフィカルなドット絵のようなものが多い中、イレギュラーなタイルの割り方を多用して複雑な描画を指向する彼女は、このジャンルを変えるゲームチェンジャーになるかも知れない。

キャリアはまだ浅いながらも、「モザイクビエンナーレ 2011」にて笠原賞を受賞するなど業界での知名度もあり、個展のたびに新しい作り方を含めレベルアップへのチャレンジを欠かさない姿勢がファンから信頼と期待を集めている。